介護現場でケアマネジャーとして働き、記録やケアプラン作成の残業を減らしたくて転職先を探している方へ。介護DXの求人では「ICT導入済み」という言葉をよく見かけますが、本当に確認したいのは、機器の有無よりも導入後に仕事がどう変わったかです。
株式会社ライフシフトは2026年7月25日、介護現場のDXとAI活用について、公的な調査や制度を整理したレポートを公開しました。そこから見えるのは、これからの介護職・ケアマネ転職では、給与や休日に加えて「記録・計画・報告をどう減らし、専門職の判断時間をどう守っているか」が職場選びの重要な軸になる、という変化です。
💡 今回のポイントは「AIが介護職を置き換える」ことではありません。AIやICTの出力を専門職が確認し、利用者へのケアに使える時間へ戻せる職場かどうかが、転職先の働きやすさを左右すると考えられます。
📄 介護DXは進んだのに、負担軽減を実感できる職場はまだ半数前後
ライフシフトが7月25日20時に公開したレポートは、公益財団法人介護労働安定センターの調査や厚生労働省の資料を基に、介護現場のデジタル化が「導入」から「実際に成果を出す運用」へ移りつつあると整理しています。
同レポートが引用した令和6年度介護労働実態調査では、ケア記録やケアプランなどの入力・保存・転記機能を日常的に利用する事業所は75.4%でした。一方、ICT機器や介護ロボットによって昼間の業務負担が軽くなったと感じる事業所は49.4%、夜間は44.6%にとどまります。普及率と効果実感の間に差があるわけです。
| 確認された指標 | 数値 | 転職者が読み取れること |
|---|---|---|
| 記録・ケアプラン等の機能を日常利用 | 75.4% | 介護ソフトを使うこと自体は珍しくなくなっています |
| 昼間の業務負担軽減を実感 | 49.4% | 導入済みでも、約半数は十分な効果を実感できていません |
| 夜間の業務負担軽減を実感 | 44.6% | 夜勤の巡回や記録まで運用を変えられているか確認が必要です |
| 従業員が不足していると感じる事業所 | 65.2% | 省力化が欠員補充の代わりに使われていないか注意が必要です |
| 2022年度の介護職員数 | 約215万人 | 国の将来推計を考える際の基準となる人数です |
| 2026年度に必要とされる介護職員数 | 約240万人 | 2022年度比で約25万人の上積みが必要と推計されています |
なお、これらの数値は調査対象や基準時点が同一ではありません。75.4%などは令和6年度介護労働実態調査、約240万人という数字は厚生労働省の第9期介護保険事業計画に基づく推計です。単純に足し引きするのではなく、「人手不足が続くなか、導入しただけでは現場の余裕につながらない」という方向をつかむための資料として見るのが適切でしょう。
ライフシフトは、紙や手作業をデジタルへ置き換えるDXに対し、AIが記録・計画・報告の下書きや実行まで担う段階を「AX」と表現しています。AX(=AIを組み込んで業務全体を作り替えること)は法令上の統一用語ではなく、同社による整理です。ただ、介護転職で見るべきポイントを「端末があるか」から「業務の流れが変わったか」へ進める考え方としては参考になります。
✅ 介護DX転職で変わるのは、ケアよりも記録・調整・確認の進め方

介護DXと聞くと、ロボットが身体介助を担い、職員の仕事が大きく減る場面を想像する方もいるかもしれません。しかし、現在の公表事例から先に変わっていると確認できるのは、議事録、記録の転記、ケアプラン原案、シフトや情報連携といった周辺業務です。
例えば介護専門媒体の介護ニュースJointによるSOMPOケアへの取材では、音声認識による議事録作成ツールを全1100事業所へ導入し、1事業所当たり月約10時間の短縮効果があると報じられました。同社はAIによるケアプラン原案作成やAIカメラも実証中です。これは一社の事例であり、全事業所に同じ効果が出ることを意味しません。それでも、介護のAI活用が実験だけでなく、多拠点での業務運用へ進んでいることは読み取れます。
厚生労働省も介護テクノロジーの利用促進として、導入支援、重点分野、ケアプランデータ連携の標準仕様、安全管理に関する資料をまとめています。2026年度には介護情報基盤の活用やデータ連携も進められており、ケアマネジャーにとって「ソフトへ入力できる」だけではなく、事業所間で正しく情報を受け渡す力が重要になってきました。
転職後の仕事で変化が考えられるのは、次のような部分です。
ここで残るのは、利用者の状態や生活歴を踏まえた判断、本人・家族との合意形成、多職種との調整です。むしろ下書きや転記が減るほど、「なぜこの支援方針なのか」を説明する専門性が目立ちやすくなるでしょう。
💡 転職市場で評価されやすくなると考えられるのは、特定ソフトの操作経験だけではありません。現場の課題を整理し、安全性を守りながら運用を改善した経験です。
📄 ケアマネ AI 求人で伝えたいスキルは「使った経験」より「確かめた経験」
ケアマネ向けのAI求人や介護DX求人へ応募するとき、「生成AIを使えます」だけでは仕事内容との接点が伝わりにくいものです。職務経歴書では、どの業務を、どのルールで、どれほど安全に変えたかまで分解しておくと説得力が増します。
まず棚卸ししたい5つの経験
例えば「介護ソフトを使用」とだけ書く代わりに、「紙と介護ソフトの二重記録を見直し、申し送り時の確認手順をチームで統一した」と書けば、運用改善まで担えることが伝わります。実際の短縮時間を記録していない場合は、数字を推測してはいけません。「職員から聞き取った課題を整理した」「確認漏れを防ぐチェック項目を作成した」など、確認できる行動を中心にしましょう。
AIの出力は、もっともらしくても事実と異なる場合があります。ケアプランや介護記録では、利用者の身体状況、服薬、家族関係など重要な情報を扱うため、人による確認を外せません。厚生労働省の介護テクノロジー関連ページでも、医療・介護関係事業者の個人情報ガイダンスや安全管理資料への導線が示されています。
そのため、面接で評価につながりやすいと考えられるのは「AIに全部任せたい」という姿勢ではなく、次のような説明です。
「定型文の下書きはAIへ任せても、アセスメントとの整合性、本人の希望、リスクに関わる表現は担当者が確認する必要があると考えています。導入時には、入力してよい情報の範囲と最終承認者を先に決めたいです」
これはAIエンジニアのような高度なプログラミング経験がなくても話せます。介護現場を知る人だからこそ、どの判断を機械へ渡してはいけないかを具体的に説明できるからです。
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✅ 介護職 ICT 職場選びでは「導入台数」より運用と成果を確認する

求人票に「ICT化推進」「見守りセンサー導入」「AI活用」と書かれていても、それだけで残業が少ない職場とは判断できません。紙の記録が残っていれば二重入力になることもありますし、アラートが多すぎれば確認業務が増える可能性もあります。省力化で空いた時間に担当件数だけが増えれば、働く人の余裕にはつながりません。
応募前や面接では、次のチェックリストを使ってください。
- ✓ 導入しているシステム名だけでなく、対象業務と導入時期を確認する
- ✓ 紙、Excel、介護ソフトの二重・三重入力が残っていないか聞く
- ✓ ケアプラン原案や記録文を誰が最終確認するか確かめる
- ✓ 個人アカウント、アクセス権限、端末持ち出しのルールがあるか確認する
- ✓ 障害発生時やネットワーク停止時の代替手順を聞く
- ✓ 導入後の残業時間、記録時間、夜間訪室などを測定しているか確認する
- ✓ 操作研修が勤務時間内に行われるか確かめる
- ✓ 現場職員が改善会議や製品選定に参加できるか聞く
- ✓ 効率化で得た余力を、ケアの質、休憩、処遇改善のどこへ使ったか確認する
- ✓ AIを理由に欠員状態のまま担当件数を増やしていないか見極める
聞き方に迷う場合は、「ICT導入後、職員の1日の流れで最も変わったところを教えてください」と尋ねると自然です。実際に運用できている職場なら、申し送り、夜勤巡回、記録確定などの具体的な場面が返ってくるでしょう。
反対に「最新システムだから便利です」「詳しいことは入社後に」といった抽象的な回答だけで、研修や効果測定の説明がない場合は慎重に考えたいところです。担当者がすべてを把握していない可能性もあるため、一つの回答だけで決めつけず、現場見学や配属予定部署との面談を依頼して情報を補いましょう。
💡 良い介護DX職場の目印は、機器の多さではなく「導入目的・人による確認・効果測定・改善方法」を職員が説明できることです。
📄 面接では、AIで何を減らし、何を守ったかを質問する
介護転職では人員配置、夜勤回数、基本給、処遇改善加算の配分などが欠かせない確認事項です。介護DXを見る際も、それらと切り離さずに質問しましょう。テクノロジーは働きやすさをつくる手段であり、賃金や人員体制の代わりではないからです。
業務負担を確かめる質問
「ケアマネジャー1人当たりの担当件数と、月末月初の平均残業時間を教えてください」「AIや介護ソフトの導入前後で、記録時間を比較しましたか」と聞けば、導入成果を数字で管理しているかが分かります。数値を公開できない場合も、測定方法や改善事例を説明できるかに注目してください。
安全性を確かめる質問
「AIが作成したケアプラン原案は、どの職種がどの段階で確認しますか」「誤った内容が出たときの報告先や修正手順はありますか」という質問が有効です。AI利用のルールを定め、専門職が最終判断する体制なら、効率だけでなくケアの質も意識していると判断しやすくなります。
教育体制を確かめる質問
「中途入職者向けの操作研修は何時間ありますか」「操作に慣れるまで担当件数を調整しますか」と確認しましょう。導入初期は、従来の仕事を続けながら新しい操作を覚える負担が生じます。研修時間を勤務として確保し、質問先を決めている職場のほうが安心です。
効率化の還元先を確かめる質問
「削減できた時間を、利用者との対話、休憩、研修、処遇改善のどこへ振り向けていますか」と尋ねると、経営の考え方が見えます。介護ニュースJointが報じたSOMPOケアの事例では、生産性向上による経済効果を処遇改善の原資として職員へ還元しているとされています。ただし、これは同社の取材時点の事例です。応募先にも同じ仕組みがあるとは限らないため、各社で確認が必要です。
こうした質問は、AIに詳しいことを誇示するためではありません。自分が長く働ける環境か、利用者への責任を守れるかを確かめる企業研究です。現職でDX経験が少ない方も、「どのような研修があれば参加できるか」「現場の意見をどう反映しているか」を聞けば、学ぶ姿勢を示せます。
✅ 今から始める介護DX転職の準備は、現職の業務を1枚に整理すること
転職活動の最初の一歩は、資格を増やすことよりも、現在の仕事の流れを見える化することです。1週間だけでも、記録、申し送り、会議、家族連絡、ケアプラン作成、請求確認にかかった時間と困りごとをメモしてみましょう。利用者の個人情報は書かず、業務名と所要時間だけを記録します。
次に「機械へ任せられる定型作業」「人が確認すべき作業」「人にしかできない対話・判断」の3つへ分けます。この整理ができれば、職務経歴書で改善経験を説明しやすくなり、面接でも応募先の運用と比較できます。
- 現在の業務を30分単位で記録する
- 二重入力、待ち時間、転記、確認のやり直しを見つける
- 自分が行った小さな改善と、その結果を事実だけで書く
- 個人情報保護や最終確認で守っているルールを整理する
- 応募先ごとに、確認したい質問を5つ用意する
今後、介護職やケアマネジャーの求人でAI・ICT経験を求める表現は増えると考えられます。ただし、現時点で特定の製品資格が業界共通の必須条件になったという事実は確認できません。まずは現場経験を土台に、記録品質、業務改善、情報連携、安全確認の力を言語化することが現実的です。
介護DXは、忙しい現場へ新しい作業を追加するだけでは意味がありません。書類仕事を減らして利用者と向き合う時間を確保し、職員が無理なく働ける状態まで運用できてこそ価値があります。転職先を選ぶときは、「何を導入したか」の先にある「職員の1日がどう変わったか」まで確かめてください。
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🔗 参照元
🔗 出典・参照リンク
- 株式会社ライフシフト「デジタル化(DX)は進んだ。だが効果実感は約半数(49.4%)——次はAIが“実行”まで担う『AX』」(2026年7月25日公開、2026年7月25日21時08分JST確認)
- 公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査結果」(2025年7月28日公表、2026年7月25日21時08分JST確認)
- 厚生労働省「介護人材確保に向けた取組」(第9期介護保険事業計画に基づく必要数を参照、2026年7月25日21時08分JST確認)
- 厚生労働省「介護テクノロジーの利用促進」(導入支援、標準仕様、安全管理資料を参照、2026年7月25日21時08分JST確認)
- 介護ニュースJoint「SOMPOケア、AI議事録を全1100事業所に導入」(2026年7月8日公開、2026年7月25日21時08分JST確認)

