2024〜2026年に入社し、「後輩の初任給が自分の入社時より高い」と気になっている方も多いのではないでしょうか。初任給の上昇は若手人材の価値が高まっているサインですが、今すぐ転職すれば年収が上がる、という単純な話ではありません。

マイナビが2026年7月22日に発表した調査では、2027年卒の初任給を引き上げた企業が89.1%に達しました。この記事では、入社数年目の既存社員がこの数字をどう読み、第二新卒転職の応募先や給与条件をどう比較すればよいかを具体的に解説します。

📄 初任給を引き上げた企業は89.1%、まず数字の範囲を知ろう

マイナビの2027年卒企業新卒採用活動調査によると、学卒の総合職について初任給を引き上げた企業は89.1%でした。従業員規模別でも、300人未満が88.5%、300〜999人が89.7%、1,000人以上が91.1%と、企業規模を問わず広がっています。

調査で分かったこと数値若手社員が読むときの注意点
初任給を引き上げた企業89.1%新卒採用実績のある回答企業の結果であり、日本企業全体の割合ではありません
2027年卒の平均支給額237,903円業種・地域・職種をまとめた平均で、基本給だけの金額とは限りません
3年以上連続で初任給を引き上げた企業43.3%初任給を引き上げた企業を母数にした回答です
引き上げ理由が「求職者へのアピール」59.8%採用競争への対応という性格が強く、既存社員の昇給を直接示す数字ではありません
引き上げ理由が「全社員の給与引き上げ」49.7%初任給を引き上げた企業のうち、給与制度を全社的に見直した企業の割合です
2027年卒の採用予定数が前年並み78.8%初任給上昇だけを理由に若手採用が一斉に縮小した状況ではありません

調査は2026年6月3日から20日に、新卒採用実績のある企業3,590社を対象に行われました。上場企業は239社、非上場企業は3,351社です。母数が大きい点は参考になりますが、あくまで企業アンケート。平均支給額237,903円を、自分が受け取るべき適正月給とそのまま比較するのは避けたいところです。

💡 今回の事実が示すのは「若手を採るために入口の賃金を見直す企業が広がった」ということです。「入社数年目の社員も同じ幅で昇給した」とまでは確認できません。

独立媒体でも、アドバンスニュースと求人ボックスジャーナルが同日、89.1%という結果と平均支給額を報じています。発表そのものは複数媒体で確認できますが、転職判断では数字の大きさだけでなく、応募先がどのように給与表を改定したのかまで調べる必要があります。

📄 初任給上昇で既存社員の給与はどうなる?3つのケースで考える

初任給上昇で既存社員の給与はどうなる?3つのケースで考える

初任給が上がったと聞くと、「自分の給料も当然上がるはず」と考えたくなります。ただし、企業の対応は一様ではありません。ここからは調査結果を踏まえたCareer Central AI編集部の分析です。個別企業の制度を示す事実ではないため、応募先ごとに確認してください。

ケース1:給与表全体を改定する

初任給だけでなく、若手から中堅までの基本給や等級別の下限・上限を引き上げるケースです。調査では、初任給を引き上げた理由として49.7%が「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」と答えました。このタイプなら、既存社員にも賃上げが波及している可能性があります。

ただし、「全社員の給与を引き上げた」といっても、全員が同額・同率で上がったとは限りません。若手層を厚くする、特定の職種だけ市場連動給を導入する、賞与の一部を月例給へ移すなど、設計はいくつも考えられます。面接で制度改定の有無を聞く際は、改定したという事実だけでなく、自分が入る等級の給与レンジまで確認しておくと安心です。

ケース2:新卒の入口だけを引き上げる

採用競争に対応するため、初任給や入社後一定期間の手当だけを上げるケースです。既存の若手社員との月給差が縮まり、場合によってはほとんど差がなくなる「賃金圧縮」が起こり得ます。賃金圧縮とは、経験年数や役割が違う社員同士の給与差が小さくなることです。

今回の調査から、どの企業で賃金圧縮が起きているかは分かりません。一方、初任給引き上げの理由では「求職者へのアピール」が59.8%と最多でした。入口だけが目立って上がり、既存社員の昇給が追いついていない企業もあり得る、と考えて確認するのが現実的でしょう。

ケース3:手当を含む「支給額」を高く見せる

求人票の月給には、基本給に加えて固定残業代、地域手当、職務手当、住宅手当などが含まれることがあります。そのため、月給が高く見えても、賞与や退職金の計算基礎となる基本給は低い場合があります。反対に、月給表示は控えめでも、賞与、残業代、住宅補助、企業年金まで含めると年収や可処分所得が高い企業もあります。

💡 比べるべきなのは「初任給対自分の月給」ではなく、同じ職種・地域・経験年数における基本給、手当、賞与、想定残業時間、昇給ルールの組み合わせです。

今の会社に不満がある場合も、まず就業規則や給与明細を確認しましょう。基本給の改定、等級の変更、若手向け調整給の追加がすでに予定されている可能性があります。上司に感情的に「新卒より安いのでは」とぶつけるより、「自分の等級で期待される役割と、次の昇格・昇給条件を確認したい」と聞く方が、必要な情報を得やすいでしょう。

💰 第二新卒転職の年収交渉は「現年収」だけで始めない

第二新卒の転職では、実務経験が短いから交渉できないと思う方もいるでしょう。しかし、企業が若手確保を重視する局面では、経験年数が短くても、再現可能な実績や早期に立ち上がれる根拠を示す意味があります。調査で、採用予定数を増やした、または前年並みとした企業の68.8%が「若手人材を確保したいため」と回答したことも、若手需要の一つの参考材料です。

一方で、今回の調査は新卒採用についてのものです。中途採用の求人件数や第二新卒の提示年収が89.1%の企業で上昇した、という意味ではありません。ここを混同すると、根拠のない強気な希望年収を出してしまいます。

希望年収を考えるときは、次の三つに分けて整理します。

現在の固定年収:基本給と毎月固定で支払われる手当の12カ月分変動報酬:賞与、業績連動給、インセンティブ実質的な待遇:残業代、住宅補助、社宅、退職金、企業年金、資格支援

例えば、現職の額面年収が360万円で、応募先の提示が380万円だったとしても、固定残業代が月30時間分含まれ、住宅補助がなくなるなら、生活の余裕は増えないかもしれません。逆に提示年収が同額でも、基本給が高く、残業が少なく、昇給要件が明確なら、中長期の選択肢として魅力が増します。

希望年収を伝える際は、「新卒初任給が上がっているから」という市場全体の話だけに頼らず、自分の価値と接続してください。「法人顧客30社を担当し、問い合わせ対応の手順を見直して処理時間を月20時間減らした」「製造ラインの停止原因を記録し、同じトラブルの再発を減らした」など、役割、行動、結果を短く説明できると説得力が高まります。

第二新卒で生かせる経験をCareer Central AIで整理する

まだ大きな成果がないという方は、担当件数、扱った業務範囲、改善前後の変化、顧客や同僚から任されたことを洗い出してください。売上のような派手な数字がなくても、ミスの防止、納期の安定、引き継ぎの標準化、問い合わせ削減は立派な実務経験です。

⚖️ 20代転職の給与比較では求人票の6項目を見る

20代転職の給与比較では求人票の6項目を見る

初任給のニュースを見た直後は、月給の大きな求人に目が向きがちです。しかし、入社後の納得感を左右するのは「なぜその金額なのか」と「次にどう上がるのか」。求人票、採用ページ、面接で最低限そろえたい情報を整理します。

  • ✓ 月給のうち、基本給はいくらか
  • ✓ 固定残業代が含まれる場合、対象時間数と超過分の支払い方法はどうなっているか
  • ✓ 賞与の算定基礎、支給回数、初年度の取り扱いはどうなるか
  • ✓ 入社時の等級と、その等級の給与レンジは示されるか
  • ✓ 昇給の時期、評価項目、標準的な昇格までの期間は明確か
  • ✓ 住宅・地域・資格・交替勤務などの手当に適用条件があるか
  • ✓ 試用期間中に基本給や手当が変わるか
  • ✓ 転勤、夜勤、休日出勤、想定残業時間を含めても続けられるか

「平均年収」も慎重に扱いましょう。年齢構成、管理職比率、営業インセンティブの有無によって大きく変わります。自分と近い職種・等級のレンジが分からない平均値は、企業全体の傾向を見る補助材料にとどめるのが安全です。

オファー面談では、給与の内訳を書面でもらい、想定年収がどの前提で計算されているか確認します。特に注意したいのが、満額賞与、一定量の残業、達成率100%のインセンティブを含む「モデル年収」です。初年度は査定期間が短く、満額賞与にならないこともあります。

質問するときは、「お金だけを重視していると思われそう」と遠慮する必要はありません。ただし、聞き方は具体的にします。「月給30万円のうち基本給と固定残業代の内訳を教えてください」「入社予定の等級で、次の昇格に必要な成果を教えてください」と尋ねれば、入社後の働き方を真剣に考えていることも伝わります。

💡 高い初任給は応募のきっかけにはなりますが、良い転職先かどうかは、2年目以降の昇給、評価の透明性、仕事内容、働き方を合わせて判断する必要があります。

📄 生成AI時代の若手採用は、面接の「深掘り」が増える

今回の調査には、給与以外にも第二新卒が知っておきたい変化があります。学生が就職活動で生成AIを使うことについて、「慎重に検討したうえで活用してほしい」が76.6%、「積極的に活用してほしい」が8.2%で、肯定的な回答は合計84.8%でした。一方、企業の対応では「面接での質問内容を工夫する」が36.2%で最多です。

これも新卒採用についての調査ですが、中途面接でも、AIで整えた応募書類と本人の経験が一致しているかを確かめる深掘りは増えると考えられます。これは編集部による推測であり、すべての企業が同じ選考をするという事実ではありません。

AIを使って職務経歴書の構成や言い回しを整えること自体よりも、書いた内容を自分の言葉で説明できるかが大切です。「なぜその方法を選んだのか」「自分が担当した範囲はどこか」「うまくいかなかった点は何か」「別の職場でも再現できるか」と聞かれたときに、具体的な場面へ戻って話せるようにしましょう。

準備するエピソードは、成功談だけでなくても構いません。失敗後に確認手順を変えた経験、苦手な関係者との調整方法、締め切りに間に合わないと判断して早めに相談した経験も、仕事の進め方を伝える材料になります。文章をきれいにするより、判断の過程を思い出すことが面接対策になります。

給与交渉についても同じです。「市場が上がっているから高くしてほしい」だけではなく、希望額の根拠を仕事内容と経験に結び付けます。AIに相場や回答例を出させた場合は、求人票、企業の採用ページ、面接で得た情報と照合し、存在しない制度や経験を書き込まないよう注意してください。

📄 第二新卒転職を決める前の30日アクション

後輩の初任給を見て焦って退職する必要はありません。まず30日で、現職に残る場合と転職する場合を同じ物差しで比較してみましょう。具体的な情報がそろうと、「給料が低い気がする」という不安を、判断できる課題へ変えられます。

  1. 1週目:直近12カ月の給与明細と賞与明細を集め、基本給、手当、残業代、賞与を分けて現年収を計算します。
  2. 2週目:同じ職種・地域・経験年数に近い求人を5〜10件見て、基本給、固定残業代、想定年収、休日、勤務地を一覧にします。
  3. 3週目:現職で担当した仕事を三つ選び、課題、自分の行動、結果、学びをそれぞれ200字程度で整理します。
  4. 4週目:興味のある企業へ応募するか、カジュアル面談で給与制度と仕事内容を確かめ、現職の昇給見込みと比較します。

現職に残る選択も十分にあり得ます。今後の給与改定、担当業務の広がり、昇格時期、身に付くスキルを確認し、1〜2年後の市場価値が高まるなら、すぐに転職しない方がよい場合もあるでしょう。反対に、役割が増えても評価基準が不明、昇給の説明がない、若手の離職が続くといった状況なら、外部の選択肢を持つ意味が大きくなります。

今回の89.1%という数字は、若手の採用をめぐる給与競争が広い企業規模へ波及していることを示します。ただし、あなたが知りたいのは平均初任給ではなく、経験を積んだ後にどのような仕事を任され、どう評価され、給与がどう上がるかです。

💡 転職を急ぐより、現職と応募先の「基本給・評価・仕事内容・2年後」を横並びにしてください。初任給のニュースを、自分の条件を確かめるきっかけに変えることが大切です。

Career Central AIで給与だけに偏らない転職軸を整理する

🔗 参照元

以下は2026年7月23日9時00分(日本時間)に確認しました。

🔗 出典・参照リンク

✍ この記事を書いた人

Career Central AI 編集部

転職・キャリア支援の専門チームです。各社の公開求人や採用動向を分析し、応募判断に役立つ情報をわかりやすくお届けします。